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想像を超えるアイデアソース

サプライズを創出し続ける人々の
想像を超えるアイデアソースをご紹介します。

2015年12月3日

第1GF開発チーム 日田 貴大さんのアイデアソース

第七回


想像を超える「写真」

無限の空間
この本を開き、写真を眺めていると、日本独特の曖昧な世界観に引き込まれていきます。
いくつもの茶室やそれを囲む庭園が紹介されていますが、自然と人工物、外と内、明と暗がはっきりとした境界を持たず、お互いを引き立てあう事で美しい空間が創りあげられています。
縁側や軒下といった外と内を繋げる中間部分によって、その境界をぼやけさせ、融合させることができているのであろうと思います。

私は特に、障子が好きです。
障子戸は閉めきった状態でも、光や影は反対側にも届けられます。また、少し開けると、その開き具合によって映る景色は全て異なります。さらに、取り払ってしまえば、二つの空間は一つの空間に変化します。
たった一枚の紙によって、いとも簡単に空間を無限に操ることができる障子戸は、”曖昧な”日本文化を象徴する一つではないかと思います。

しばしば、「日本人ははっきりものを言えない」と指摘されてきましたが、はっきりと”言えない”のではなく、”言わない”が正しいのではないでしょうか。
なぜか?…その曖昧さが美しいからです。
その一つに「和歌」があります。同音異義語である掛詞を使い一つの言葉に複数の意味を持たせたり、暗喩によって別の意図を表現したりと、間接的な表現が多用されています。このような曖昧さを、作り手も受け手も理解し共有できる力は、日本固有の強みではないかと思います。

白っぽいものを白、黒っぽいものを黒と表現する事は、勇気は必要ですが、とても効率的です。でも本当の正解ではないかもしれません。その灰色の持つ良さを感じ、また他の灰色と組合せたりすることで、そこでしか作ることができないものを生み出すことが出来るかもしれません。

障子戸の様に視野や思考を広げたり、狭めることを何度も繰り返すことで、発見や気付き、驚きが生まれ、想像を超えるアイデアや新しい閃きにつなげていくことができると思います。
いま、その日本らしい曖昧な感性が、多様化するグローバル社会で活躍できるものと信じています。

京都茶庭拝見

水野 克比古
出版社
光村推古書院
価格
1,600円+税