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想像を超えるアイデアソース

サプライズを創出し続ける人々の
想像を超えるアイデアソースをご紹介します。

2021年5月7日

静岡サテライト 鈴木 晴名さんのアイデアソース

第六十九回


想像を超える「フィルム」

一枚の重み
ジーーー、パシャッ。
私が初めてフィルムカメラを手にしたのは、おそらく幼少期だったと思います。例えば「写ルンです」など、懐かしい思い出のある方は多いのではないでしょうか。フィルムを巻いてシャッターを押し、また巻いてはシャッターを切る。今思えば、当時はフィルムを巻く感覚のほうが楽しく、写真を撮ること自体には興味が無かったかもしれません。

今では携帯電話のカメラ機能をはじめ一眼レフやミラーレスなど、デジタルカメラが主流となっています。しかし大学2年生の頃、私はフィルムカメラと再会し、一瞬でその虜になりました。

私が思うフィルム写真の最大の特徴は、"消せないこと"です。情景をフィルムに光で焼き付けるため、一度撮った写真は消せません。そして、撮った写真も現像するまで見ることはできません。それが不便で、とても楽しいのです。
なぜ不便なのに楽しいのか。それは、残すシーンを吟味するからです。シャッターを押したら、もう戻れない。被写体を注視し、指を震わせながら収める瞬間を待つ。「今だ!」と決心を固め、フィルムに焼き付ける。そしてドキドキしながら現像されるのを待つのです。この一連の高揚感は、何にも代え難いものです。

フィルム写真は、その時の音や空気感、そして感情までも写真の中に閉じ込めることができます。撮影の瞬間は「撮る」という行為に全神経を集中しているため、カメラが捉えた一瞬は、フィルムだけでなく記憶にも焼き付けられます。ひとたび写真を見返せば、たちまち自分がその場にいるかのような錯覚に陥ります。アルバムに並ぶ写真たちは私の人生に味わいをもたらし、何度でも瑞々しい記憶を呼び起こしてくれることでしょう。

以下、お気に入りの写真を紹介させてください。

電車が通り過ぎる。夏、トンネルの中は少し涼しい。

静かな風が吹いていた。波も穏やかで、時間の流れがゆるやかだった。

どんよりとした、湿った空気。猫にとっても退屈なのか。