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想像を超えるアイデアソース

サプライズを創出し続ける人々の
想像を超えるアイデアソースをご紹介します。

2016年02月05日

総務チーム 北 里美さんのアイデアソース

第九回


想像を超える「景色」

“好き”のルーツをたどる
工場鑑賞をご存知でしょうか?工場の景観を眺めて楽しむ、マイナーな趣味の1つです。2007年にちょっとしたブームとなり、中でも人気のある工場夜景は、現在もツアーやクルーズが各地で開催されています。「工場萌え」は、工場鑑賞ブームの火付け役となったバイブルとも言える写真集です。この本は、前半に昼夜問わず撮影された全国各地の工場写真、後半は基礎知識や撮影スポット、モデルコースなどの工場鑑賞ガイドで構成されており、盛りだくさんの内容となっています。

私は、この本と出会ったことで工場鑑賞が趣味になりました。この本が発刊されたころ、私は高校生でした。当時は、通学途中や校舎の窓から見える工場を、ぼんやりとかっこいいと思っていたのです。そんなとき、偶然本屋で見つけたのがこの本でした。まず工場鑑賞や工場好きというジャンルの存在そのものに驚いたことを覚えています。本を開くと、煙や炎が噴き出す煙突や入り組んだ配管、夜に浮かび上がる近未来のような景色。工場の迫力や美しさが詰め込まれた写真を見て、私は心を奪われました。そして、自分も工場好きなのだと自覚しました。それからというもの、工場地帯に出掛けては写真を撮るようになり、現在に至るのです。

なぜ工場が好きなのか?と改めて考えると、子どものころ父に見せてもらったある景色が思い浮かびました。私の父は、土木関係の仕事をしています。そんな父に連れられて、ある日出掛けたときのことです。だだっ広く薄暗い地下道を長いこと歩くと、行き止まりにたどり着きました。父が明かりを点けると、目の前に現れたのは土の壁。父の仕事場である建設中のトンネルでした。えぐられた生々しい土と、歩いてきたコンクリートの空間に私は衝撃を受けました。その時初めて、巨大な建造物が人の手で作られていることをきちんと理解したように思います。とてつもなく大きく無機質な存在から人の営みが垣間見えたのです。思えばそれから、工場やトンネル、橋などの巨大建造物や工事現場などが気になるようになったのでした。あのトンネルも、今見ている工場も、巨大で無機質な存在と人の営みが共存する景色です。私は工場を眺めながら、あの日の感動を繰り返しているのかも知れません。

工場萌え

出版社
東京書籍
価格
1,900円+税