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想像を超えるアイデアソース

サプライズを創出し続ける人々の
想像を超えるアイデアソースをご紹介します。

2022年03月15日

品質保証チーム 高田 和武さんのアイデアソース

第七十九回


想像を超える「包丁研ぎ」

研ぎ澄ますもの
私は20年ほど前まで、魚を卸す仕事に関わっていたこともあり、家族から包丁研ぎを頼まれることが、今でもたまにあります。

しかし、私は包丁研ぎが得意ではないうえに、面倒くさがりなので、家族からのこの依頼は、休日において最も避けて通りたい依頼のひとつとなっています。

したがって、巷で見かける「簡易研ぎ器」を使ってササッと用事を済ませてしまえば良いところなのですが、ここは自身の身体に染みついた習慣のためなのか、用途に応じた角砥石をわざわざ揃えて、家族から頼まれるごとにせっせと包丁研ぎをしています。

ひと言で「包丁研ぎ」といっても、包丁の下洗いや砥石の準備、荒研ぎ、裏研ぎ、仕上げ研ぎ、研ぎ終わった包丁のメンテナンスや砥石本体のメンテナンスなど、それぞれの作業工程においてそれぞれの作業手順や決まり事があり、包丁研ぎをする際の立ち位置や姿勢、包丁の持ち方や包丁を砥石に当てる角度など、作業手順や決まり事をきちんと守らなければ、狙い通りの切れ味の良さを出すことが難しいというだけでなく、作業中のちょっとした気の緩みや油断の結果が、研ぎの出来栄えに如実に反映されてしまうというような、一見して計り知ることのできない繊細で奥の深い世界です。

そして、包丁研ぎをするたびに、『完成度の高いアウトプットを実現』するための基本・前提として、いわゆる手順や決まりごとの遵守を求められるということは、日々携わっている会社の業務においても、休日の包丁研ぎにおいても、全く変わるところがないのだということを痛感させられます。

このように、本腰を入れてやろうとすると、あれこれ道具が必要で手間も技量も要する包丁研ぎですが、切れ味に優れた出来栄えの良い研ぎをやり遂げることができたときには、苦手を克服した際のちょっとした満足感、達成感を味わうことができるというのも事実です。

また、出来栄えの良い研ぎを目指してひたすら研ぎ続ける作業が、ささやかな集中力の鍛錬にもなっているのではないかと思う半面、その集中力が途切れた瞬間なのか、突然に、ふと忘れ物を思い出したり、そうだそうだとアイデアが浮かんできたりと、予想外の副産物を手に入れることができたりもします。

「研ぐ(とぐ)」と「澄ます(すます)」の複合語である「研ぎ澄ます」という言葉には「刃物をよく研いで切れるようにする」や「刃物・鏡などを、少しの曇りもなく丁寧に磨き上げること」という意味のほかに「精神・神経を集中させて、物事に対して感じやすくすること」や「雑念を無くして、一つの物事だけに意識(神経)を集中させること」というような意味があるそうです。
そうだとすると、包丁研ぎの最中に色々と思い起こしてしまう私自身は、全然研ぎ澄まされておらず、その私が研いだ包丁もまた然りで、研ぎ澄まされた包丁を仕上げることのできる境地には程遠いレベルだということになるのでしょう。

私に包丁研ぎを教えてくれた指導者は、とても素晴らしい技量の持ち主であった一方で、当の私は包丁研ぎの苦手な弟子でした。
そんな当時のほろ苦い記憶を思い出しつつ、より切れ味鋭く長持ちする、出来栄えのよい研ぎの境地を求めて、これからもせっせと包丁を研いでいきたいと思っています。
包丁工房タダフサ 研ぎ方のコツ

包丁工房タダフサ 研ぎ方のコツ

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https://www.tadafusa.com/maintenance/maintenance_1/