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想像を超えるアイデアソース

サプライズを創出し続ける人々の
想像を超えるアイデアソースをご紹介します。

2016年06月03日

品質保証グループ 髙橋 恭彦さんのアイデアソース

第十三回


想像を超える「言葉の意味」

毒舌という良薬
アイデアソース。私のアイデアソース・・・正直、悩みました。雑多に有り過ぎて(笑)
電車内の吊り広告、エキナカのPOP、街行く女性の持ち物、飲み仲間との話・・・ 一見、役に立たなそうな雑学だけが積みあがっていく・・・。
そういえば、それらから何かを捉えようとするとき、必ず表と裏の意味を考えてしまいます。「口ではそう言ってるけど、本当の理由は違うんじゃないの?」的な。そして、そうした私の思考回路は、小さい頃から読み続けている筒井康隆の著書によって形成されたと自覚しています。「時をかける少女」、七瀬三部作、「文学部唯野教授」。断筆宣言を挟んで、「わたしのグランパ」、「笑いの力」・・・常識を破壊するSFパロディ、ブラックユーモア。
そんな筒井康隆ワールドの集大成的な位置付けとして私が保存版にしている本。それが「現代語“裏”辞典」です。

この辞典、ちょっと中身を紹介します(内容的に載せられるギリギリのものをチョイスしました)。
 【コンピュータ】 して欲しいこと以外は大概のことができる機械
 【説明】 「あのー」「まあ」「えーと」「・・・じゃないですか」が混じれば嘘
 【職業】 収入を得るための仕事のうち、公表可能なもの
 【美】 見る者がいないと存在しないもの
 【慢心】 他人から見た自尊心や誇り
 【辞典】 唾棄すべき常識の巣窟

真実を知るには、裏も知ってこそ。それで初めてその奥にある意味を捉えることができるのだと思います。そうすることで、物事を客観的に見ることができる、事実をイーブンに俯瞰できると考えています。また、一側面だけでは弱い説得力を、別の側面を知っていることによってパワーアップさせることができます。
加えて大事なのが、笑うことの素晴らしさ。余裕というか、遊びの部分も必要です。筒井康隆は、この本は、そのことをあらためて教えてくれます。
実はこうしたジャンルは、洋の東西を問わず昔から存在しています。最も有名なのが、アンブローズ・ビアスの著書「悪魔の辞典」。これが出たのは1911年です。世界中の童話や御伽噺も、言ってみれば常識を超えたSFパロディ、ブラックユーモアの側面を持っています。

ただし、裏の見方だけで意見を言ってしまっては、揚げ足取り的でネガティブな、ただのウザいヤツになってしまいますよね。裏の見方と素直な見方の両方セットで、魅力のある意見になるのではないでしょうか。
さらに付け加えると、裏の見方は、実はネガティブなだけではなく、逆にポジティブに捉えることもできます。例えば、“難しい”という言葉。これは“やりたくない”の言い換えですよね。一方で裏の見方をすれば、“できないのではなく、難しいけど可能”ということ。常識の中の非常識的な捉え方のほうが、前向きな行動につながる場合があると思っています。

こうした私の思考回路のベースがぎっしりとつまった本です。この「現代語“裏”辞典」や私の思考回路、皆さんはどう感じましたか?批判も称賛も両方ひっくるめて(笑)

現代語裏辞典

筒井康隆
出版社
文藝春秋
価格
2,300円+税