世界基準SUS

今日も、明日も。

かたわらに茶がある日本の未来

sono-7

「茶氷はじまってました」

時事

2024年7月31日

茶氷はじまってました

イメージ7-1

 いつの間にか、静岡県に「茶氷」という言葉が生まれ、今年もはじまっていました。気づいたのはJR静岡駅から続く地下道に貼られた大きなポスター。茶氷というふた文字とその横にはおいしそうなかき氷のイラストが。さっそくネット検索してみると、静岡茶を使ったかき氷を茶氷と命名し、静岡県内のカフェやお茶屋さんで提供するプロジェクト。これまで気づかなかっただけで、2018年からスタートして2024年の今年は7回目を迎えていました。今年は7月1日~9月30日の期間限定で60店舗以上の店がそれぞれの茶氷を提供しているのだとか。
 へーお茶と氷で茶氷か、これってとってもいいプロジェクトだなぁと感心。高級かき氷がブームになって久しいけれど、その人気者とお茶のコラボ。夏のお茶需要を引き出すだけでなく、なんといっても暑い静岡にかき氷はぴったりです。特設のWEBサイトを見ると、お茶の種類も様々で、玉露、抹茶、緑茶は言うに及ばず、和紅茶やほうじ茶も。凍らせたお茶をかき氷にしたストレートなタイプや、茶のシロップをかけたシンプルなもの、フルーツやアイスをこんもり乗せたパフェ形式など、どの店も特徴のあるメニューを考案していて、写真を見ているだけでもどれから食べようかとワクワク。しかもちょっぴり涼しくなってくるような?タイプは違えど、共通点は静岡茶。この茶氷を目指して静岡に遊びに来る人が増えたらいいな。冷たい氷のあとには、梅干しと温かい緑茶かな。

お茶にあうお菓子

イメージ7-2

 静岡の茶氷は、お茶自らがスイーツとして活躍していますが、お茶にはお菓子がよくあうもの。今回は、好みはさておき、お茶にぴったりのお菓子とは何かを考えてみます。
 まず和菓子と洋菓子、どちらも甲乙つけがたいところがありますが、今回は昔から日本茶と密接な関係がある和菓子に限定。和菓子には四季や節句、行事にあわせた季節限定のものがあります。例えば、お正月の花びら餅、節分の豆、ひな祭りには雛あられやひし餅。桜の季節の桜餅、端午の節句にはやっぱり柏餅、土用の入りに食べる土用餅、お盆は蓮や菊の花の形をした落雁、秋のお彼岸にはおはぎ(お萩)。ちなみに、春のお彼岸に食べるのは、ぼたもち(牡丹餅)。どちらも同じ作り方なのに、季節によって名前が変わるのも風情がありますよね。季節のお菓子にはどれにもその日に食べる理由があって、多くが無病息災や幸福を願う縁起の良いものばかり。砂糖が今よりも希少だった時代にとっては、季節や節目に食べるお菓子は大変貴重なもので、大きな楽しみだったのではないかと想像できます。
 現在は、こういった四季のお菓子はコンビニエンスストアやスーパーなどでも手軽にいただくことができますが、たまには手作りしてみると、その季節や風習、文化も一緒に味わうことができて、もっと楽しそうです。
 さて、結局お茶に一番あうのは一体どんなお菓子なのか?直ちには結論が出せそうにありませんが、そのことを考えているだけでなんだかとってもハッピーな気持ちになってきます。お菓子って心にひびくのかもしれません。ちなみに、静岡には徳川家康も食べたという江戸時代から続く「安倍川もち」があります。静岡市を流れる安倍川の上流では当時砂金が採取されていて、その砂金に見立てたきな粉をつきたてのお餅にかけて家康に「安倍川の金な粉餅」として献上したのがおこりだとか。静岡土産としても買えますが、つきたての餅で食べると絶品です。縁起もいい安倍川もち、ぜひ静岡に来て召し上がってください。

熱中症対策にお茶はNG?

イメージ7-3

 連日、猛烈な暑さです。最近の静岡市は日本の中でも有数のホットなスポット。何度も日本一の最高気温を記録して、ニュースになっています。以前はヒートアイランド現象で、東京の都心の方が間違いなく暑かった気がしますが、今は静岡から東京へ移動すると新幹線を降りた瞬間、「涼しい」と感じることも。静岡市民としては、ちっともありがたくないホットな状況です。
 こんなに暑いと、気になるのが体調管理。特に熱中症予防は重要な課題です。熱中症の予防や対策には、何よりも水分補給が大切なことはよく知られています。体内の水分の5%以上が失われると、脱水症状や熱中症になるといわれていますから、早めの水分補給が何よりも大切。特にスポーツドリンクや経口補水液のように、水分に塩分が含まれている飲み物は吸収が早く脱水症状を起こしにくいと推奨されています。一方で気になるのは、それらに含まれるカロリーや糖分。こう暑かったら、一日に一体何本のスポーツドリンクを飲んだらいいのやら。ローカロリーとはいえ、ちょっと気になります。
 ノンカロリーの代表的なドリンクと言えば、水。でも、それよりおすすめしたいのはやっぱりお茶なのです。お茶は利尿作用があるので、以前から熱中症対策には適さないといわれてきました。そのため、昔から、日本では夏は麦茶を飲んでいるのかもしれません。でも、実は、お茶は熱中症対策に向かないというのはちょっと誤解なんです。お茶は淹れる温度でその抽出成分が変わります。熱い湯で淹れれば、カフェインやカテキンが多く抽出されますから、確かにカフェインが持つ利尿作用が強めに出るといわれればその通りかも。けれど、低温の湯や、水、氷で出すお茶にはカフェインがほとんど含まれないのです。さらに、リラックス効果のあるテアニンが多く抽出されるので、自律神経が乱れがちなこの時期には実はぴったりなのです。水出しのお茶は茶葉とお水を入れた茶こし付きのポットを冷蔵庫にポンと入れて2~3時間で完成。しかも、自宅で淹れる水出し茶はとってもリーズナブル。簡単でヘルシー、しかもお財布にも優しい水出し茶で今年は暑い夏を乗り切りませんか?

文:原田亜紀子 絵:土屋弘子