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「いも、くり、なんきん」
くり・なんきん編
歴史・文化
2024年10月31日
くり
前回に引き続き、秋に人気の「いも、くり、なんきん」について。今回はくり(栗)となんきん(南京)にフォーカスします。ほっくりしてあっさりとした甘みが特徴の和栗。日本の栗は割れやすいのが特徴で、私たちが食べている部分は果物に例えると実は種。表面の堅い皮が果肉です。和栗の他にも、甘栗でおなじみの中国産や、マロングラッセやモンブランのペーストとしても知られている欧州産などがあり、いずれも国産の栗と比べると、甘みが強く、割れにくいのが特徴。
栗の歴史は古く、今から5000年以上も昔の縄文時代から野生の栗が採取されていたといわれています。また、縄文時代には栗の木が建築用の木材としても盛んに活用されていました。桃栗三年柿八年と表現されるように、栗は成長が早いことが知られています。さらに、湿気に強く堅い上、加工のしやすい栗の木は、今でも鉄道の枕木などに利用されています。栗って秋の味覚としては注目していましたが、想像以上に昔から日本人の暮らしに深く関わっていたんですね。
最近はモンブランやマロングラッセなどなど、「和栗」と銘打ったスイーツが盛んに販売されています。和栗独特の控えめな甘みや柔らかな食感がひと味違い、以前にもまして、栗がおいしく感じられる気がします。
ゆでただけでも、うまみと甘み、食感が楽しめるこの時期ならではの旬の和栗。日本茶と一緒にぜひ楽しんでください。
なんきん
なんきん(=南京)は、かぼちゃ(南瓜)のことで、主に関西地方を中心とした西日本では、かぼちゃのことをなんきんと呼ぶことが多いそうです。
かぼちゃの名前は、最初に日本に持ち込まれたのがカンボジアからだったということから、それがなまってついたという話や、なんきんについても同様に、南京(中国)を経由して日本に持ち込まれたことが由来という出身地説が主流ですが、そもそものかぼちゃの原産国は、メキシコなどを中心とした南米地方。
意外にも日本での歴史は古く、16世紀にはすでに伝来していたといわれています。暑い国、カンボジアに由来したのにふさわしく、日本でのかぼちゃの収穫時期は夏。実は秋ではないんです。ではなぜ、秋に人気の「なんきん」なのでしょうか?かぼちゃは収穫後、風通しの良い日陰に2週間から1カ月ほどおく熟成期間を設けると、甘みが増し、栄養価も上がります。これを「追熟」といい、この期間を過ごしたあとのかぼちゃが、食べごろの旬になるのです。そのため、秋の味覚というわけなんですね。
ハロウィンのかぼちゃ
10月31日はハロウィン。日本でもすっかり定着しました。
ハロウィンの時期になると、紫やオレンジにカラーリングされたハロウィン仕様のお菓子がスーパーマーケットなどの店頭にならび、秋の深まりを感じます。
ハロウィンの日、子供達がおばけや魔女などに扮して「トリック・オア・トリート」と声を掛けながら、近所をまわってお菓子をねだる風習はアメリカがはじまりで、コロナ禍前には日本でもイベント等が各地で盛んに行われていました。
ハロウィンで、かぼちゃがイメージされるのは、オレンジ色のかぼちゃの中をくりぬき、目や鼻、口を切りぬいて中にろうそくを立てた、ジャック・オ・ランタンと呼ばれるランタンをつくるようになったことがはじまり。もともとはかぼちゃではなくカブが使われていました。しかし、その姿があまりにも恐ろしいことや、アメリカではほとんどカブが栽培されていなかったことなどから、かぼちゃで作られるように。これが定着したのには、ネズミたちが暮らす、あの夢のパークが強く影響したのだとか。確かに、いまとなっては、ハロウィンには、かぶよりかぼちゃですよね?
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