vol.4 松原浩幸

  • SPECIAL GUEST SUS福島事業所 チームマネージャー 松原浩幸(まつばら ひろゆき)
    福島県出身。
    学校法人石川高校卒業。
    SUS入社以前は、第2種電気工事士の資格を活かし電気工事業務に従事。
    その後、アルミカーテンウォールの加工・組立て等の業務も経験。
    平成16年SUS株式会社入社
    あなたの「IDOME」SUS社内部門大賞受賞
    (※2014.10.10現在)
    HOST SUS株式会社 代表取締役社長 石田保夫
    HOST SUS株式会社 代表取締役社長 石田保夫
    • STAGE1 プロファイルを極める
    • STAGE2 マザーファクトリー福島
    • STAGE3 仕事に誇りを
    • Vol.4 挑む人
  • プロファイルを極める

    石田
    まずは、あなたの「IDOME」社内部門の大賞受賞。
    おめでとうございます。
    松原
    ありがとうございます。
    石田
    松原さんは、福島事業所の立ち上げから、SUSに入社してくれたんですよね?
    松原
    はい。ちょうど10年前です。
    それから約9年押出金型設計をやっていました。
    石田
    『プロファイルを極める』我々が会社として目指していることを、端的に表現した素晴らしい言葉だと思いましたが、きっと、松原さんには、松原さんにとってなにか特別な思いがあったのではないですか?

    松原
    私は、今年の4月からアルマイト部門に異動して、アルマイト加工
    の方が業務の中心になってきたのですが、もっと押出金型設計を極めたいと思っていた矢先だったので、ジレンマのようなものがあったんです。
    石田
    新しい環境に対する?
    松原
    そうですね。これまで携わってきたアルミの押出は、やっと一人前になってきたかな?という程度で、まだ完璧にマスター出来た訳ではなかったですし、アルマイトについては、素人同然で、知れば知るほど、やらなくてはならないことが次から次にでてきて、問題が目の前に山積みに。混沌とした毎日を送っていました。あなたの「IDOME」に応募したときは、そのど真ん中にいて、正直どうしたらいいだろうか?と悩んでもいたんですが、「IDOME」を書いたとき、心に決めたことがあって、それで吹っ切ることができたんです。
    石田
    何を決めたんですか?
    松原
    両方のプロになろう。と、決めました。押出もアルマイトも、あえて分ける必要はない、どちらもアルミなのだから、両方を極めようと思ったんです。

    STAGE1

    • Vol.3 挑む人
    • プロファイルを極める
  • 石田
    素晴らしいですね。同じアルミ業界の中にあっても、押出とアルマイトはまったくの別物ですか?
    松原
    別だと思います。技術者として両方に精通している方は少ないと思います。アルマイトはどちらかというと、化学的な思考や経験が求められる気がします。その点、押出はメカニカルな要素が強いから、追求する方向が違う印象です。
    石田
    確かにそうかもしれませんね。松原さんはもともとメカニックが得意だったんですよね?それを両立しようというのはかなり思い切った決断ですね。
    松原
    はい、私はもともと電気工事士で、その後アルミサッシの加工をやり、SUSに転職しました。だからアルミの押出については入社してから学びましたし、もちろん、化学的な基礎知識はぜんぜんありません。でもアルマイトの技術を身につけることが出来 たら、アルミ業界を席巻できるとも思っています。というのもアルマイト部門に異動してすぐに気付いたことがあったんです。
    石田
    どんなことですか?
    松原
    当たり前かもしれないですが、美しいアルマイト加工をするためには、もともとの素材が美しいことが必須だと。
    石田
    なるほど。
    松原
    以前、自分が押出業務にいたときには、あまりそのことを意識したことがなかったのです。だから、アルマイト部門から改善依頼があっても、きちんとその意味が把握できていなかった。
    石田
    うん。
    松原
    それで、自分がアルマイトに所属する前は、部門間の軋轢が多少あったのですが、実際に、アルマイトの現場を体感すると、今まで言われてきたこの意味が身に染みてわかって、自分になら解決できるかもしれない!と気づいたんです。そう思うまでは、アルマイトに関する知識や技術をゼロから身につけなくてはならない、というプレッシャーばかりが先に立っていましたが、両方の現場を知る、私にしかできないことで、今まで誰にも成し得なかったことをやるチャンスだと、逆に希望が生まれました。

    STAGE1

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    • プロファイルを極める
  • マザーファクトリー福島

    石田
    すごい!でも、これだけ成形機の性能が良くなっても、製品の仕上がりにバラつきが出るんですね、パラメーターではコントロールできないものなのですか?
    松原
    最新の押出機はほとんどがオートです。でも、押出機械は古くから使われているものも多くて、私が押出金型設計時代、主に付き合っていた成形機は、私の生年月日と製造日が同じでした。
    石田
    40歳。
    松原
    はい。まだまだ現役です。だから、数字だけではわからない、勘というか職人の腕みたいなものもまだまだ必要とされている業界だと思います。

    石田
    なるほど。カメラの性能がどんなによくなっても、撮影するカメラマンにセンスがなければいい写真は残せないことと似ていますね。要は、センスがある人間がマニュアルもオートもどちらも操作できる技術を持てば完璧だということですよね?
    松原
    その通りです。そんなイメージで、今私はセンスと技術を磨いています。 以前から、思っていたのですが、よく社長は会議などで「福島はSUSの中心だ」って言いますよね?僕らは子供の頃から、福島ってすごい田舎だと思ってきたので、なんとなく面はゆい部分があるんです。
    石田
    福島事業所はSUSのマザーファクトリーですから。まさに中心的な存在ですよ。開設から10年、若手の社員も育ち、技術も向上し、福島はこれからますます発展していくでしょう。そういう中で、松原さんは一番厳しい時期を乗り越えて、SUSを支えてきてくれた人のひとりなんですよね。
    松原
    ありがとうございます、嬉しいです。確かに、環境的には厳しい時もありましたが、10年たってみると、やっとわかる仕事の面白さみたいなものを感じることがあります。

    STAGE2

    • Vol.3 挑む人
    • マザーファクトリー福島
  • 石田
    そうですか。これまでは、新工場でほとんどが新しい社員たちだったから、その達成感を伝えられる人が少なかったかもしれませんね。
    松原
    はい。でも、最近は、みんな仕事を楽しんでいると思います。
    石田
    それは、いいですね!福島事業所は静かなイメージがあるんですが、楽しんでるんですか?静岡弁で「おだっくい」って言葉があるんですが、聞いたことありますか?
    松原
    「おだっくい」ですか?いや、知らないです。
    石田
    おだてに乗る、お調子者、というような意味なんですが、そういうちょっとそそっかしいような気質は福島の人にはないですもんね。
    松原
    はい。もともと福島人はあんまり、口数が多い方ではないですし。
    石田
    どうして?
    松原
    寒いからだって言われてます。だから東北地方の方言は、どれもあまり口を大きく開けなくても話せるような言葉なんですよ。しばれるからしゃべらねぇって。こちょこちょーっとしゃべるんです。
    石田
    本当に?(笑)
    松原
    でも、SUSは毎年、旧東山小学校で町の人を招いて納涼会をやりますよね?
    石田
    今年で7回目ですね、どうですか?準備は大変でしょうけれど。
    松原
    社員の家族や近隣の人とも触れ合えるし、普段できないコミュニケーションができるので、すごくいいですし、そういう時は、普段口数の少ない福島人も、結構盛り上がるんですよ!

    STAGE2

    • Vol.3 挑む人
    • マザーファクトリー福島
  • 仕事に誇りを

    石田
    家族と言えば、松原さんの奥さんもSUSの社員でしたよね?
    松原
    はい。今は下の子が生まれて、育児休暇中ですが社員です。今年の3月11日に生まれました。
    石田
    おめでとうございます。3.11忘れられない誕生日ですね。
    松原
    はい、ありがとうございます。ただ、その子が20歳になったとき、私は60歳になるので、孫の顔が見られないんじゃないかと、今から心配しています。
    石田
    いや、大丈夫、絶対に見られますよ。むしろ、もっと子供をたくさん作って。その分健康に注意して。
    松原
    はい。そうですね。帰ったら、妻に相談してみます(笑)
    石田
    是非そうしてください。

    松原
    実は、私には夢があるんです。自分の子供が、就職するときに、私と同じSUSに入社したい。って言って欲しいなっていつも妻に話しているんです。
    石田
    家族そろって、SUSですか。
    松原
    はい、子供が入社する頃、SUSが、今よりもっともっといい会社になっているように。そのためにも、今、私が頑張らなくてはって思ってるんです。
    石田
    ありがとうございます。
    松原
    話は変わるんですが、社長にひとつ質問してもいいですか?
    石田
    もちろん、どうぞ。

    STAGE3

    • Vol.3 挑む人
    • 仕事に誇りを
  • 松原
    社長は元々エンジニアですよね?そして、今は、経営者という立場で、マネージメントする立場ですよね? それってどうやって、転換していったんですか?
    石田
    いや、別に転換はしていないと思います。僕は永遠にひとりのエンジニアですよ。
    松原
    そうなんですか。
    石田
    ただ、自分では0から100まで全部作ることが出来ない、というだけで、経営者である前にひとりの技術者だと思ってます。
    松原
    私は、今までずっと現場にいて、今回アルマイト部門で初めて、マネージメントする立場になったんです。でも、管理者としての資質が自分にあるのか、とか、管理者として特別な勉強をしてこなかったけれどそれで務まるのだろうか、とか、不安がありますね。

    石田
    そういう意味では、かつての経験は必要ないと思います。
    松原
    そうですか?
    石田
    僕はもともと、建築家なんです。けれど、建築の世界も幅広くて、都市計画とか、エリアコンサルタントもやったし、機械設計もやったし、営業もやった。とにかく色んなことを経験しました。それで、今、SUSは機械系の製造メーカーだけれども、建築やいろんなエンジニアの視点もある。それが、今は良かったと思っています。だから、かつての経験にしばられる必要はなく て、どんどん新しい経験を積むことが重要だと僕は思ってます。
    松原
    そうですか。
    石田
    エンジニアがマネジメントスキルを身につければ、いろんな知識と経験を総合的に活用できるから、よりシャープな視点で現場を統括できると思います。
    松原
    良かった、安心しました。僕は、これから自分のチーム全員に、今まで以上に仕事とSUSに対する誇りをもって欲しいと思っているんです。
    石田
    期待しています。
    ※この対談は2014年9月12日に行われたもので、年齢や時期などは当時のものが記載されています。

    STAGE3

    • Vol.3 挑む人
    • 仕事に誇りを